新潟県トキ保護募金推進委員会は、トキの野生復帰、保護増殖を支援する目的で活動しております。

トキを再び日本の大空に~朱鷺と共存できる島へ~

13早稲田大学学生環境NPO環境ロドリゲスREC

〇活動内容

 自然離れが叫ばれている都市の学生と、人手不足のため悪化しつつあるトキの生息環境をつなげ、佐渡ではビオトープ整備など自然、生息環境の改善を、学生には佐渡島のトキの野生復帰に向けた現状の理解を促すために、「佐渡旅2013」を開催。平成25年度で3年目を迎えた「佐渡旅」では、初年度の経験から、観光面では環境団体としての利点を活かすことが難しいとの考えが生じ、私たちは佐渡全体ではなく各地域へと細分化して注目することで、自分達の取り組むべき課題を明確にすることを掲げた。そして、続く2年目の活動によって、各地域の方々は決して1産業では生活していないことを実感した。その結果、最終的には3年目以降は産業ではなく地域の生活に眼を向けて活動していくことを方針として決定した。

 もちろん、過去2年間の活動によって得られた人脈により、佐渡旅2013もNPO法人さどや佐渡市役所、そして各地域の皆様に大変お世話になり、無事実施までこぎつけることができた。

・島班

 島地区は今年から初めて活動させていただいた地域である。佐渡の農業の中心を担う地区でありながら、その現状は限界集落であり、人口減少の危機に面している。島班では島地区にて学生による活性化、提案を継続的に行い、限界状態を改善することを目的として活動した。交流会では地域の方々との交流を深め、島での生活についての意見を聞くことができた。農業体験では、佐渡旅の参加者に農業の困難さを伝えると共に、大規模な農業を取り入れる農家の直接的な労働力になることができた。また、地区内散策では自分の目で地区内の特徴や魅力を見つけ、班員で考える機会を得た。3日間ではあるが活動を通して、島地区の若者減少の根本的な原因を、魅力の再確認と啓発によって解決することを決定した。この度の地域に密着した活動で、友好的な関係を築くことができたことは、今後の活動に円滑に結び付けられるだろう。

・羽二生班

 羽二生班の活動が現地、羽二生地区に残したものは大きく分けて有形のものと無形のものの2つに分かれる。有形のものの例としてはやはり羽二生班の活動の主軸であった防波堤アート、消火用具格納庫、及び竹製のベンチであろう。これらは現地に何かしらの形を残すという羽二生班の目的に沿ったものであり、現地の方との交流、及び羽二生班が佐渡島に来たことのあかしでもある。無形のものの例としてはもちろん羽二生地区の方々との交流であろう。佐渡旅の主な目的である地域の方との交流、それがこの羽二生班でも達成できたと言えよう。防波堤アート活動が新潟日報の記事に取り上げられることによる活動の知名度の上昇もこの1つと言えるだろう。さて、この有形、無形、2つの残せたものが実際にどのような影響を与えたのかについてだが、消火用具格納庫やベンチ等の実用性や利便性、また、防波堤アートや活動中、及び交流会中の地域の方々との交流などの絆など大きなものを羽二生地区にも人々の心にも残せたと思う。

・四日市班

 成果として大きく3つある。

 1つ目、竹についてメンバーの知識・技術が深まったこと。2つ目、地域の方とのつながりを持てたこと。3つ目、自分たちで子供たちとの交流イベントを作り上げたこと。

 四日市で竹林を舞台に活動することは今年で2年目になる。昨年の大きな反省として、地域の方に頼りきりの活動になってしまったことが挙げられた。そこで今年は、少しでも自分たちで活動に主体的に取り組むことを目標とした。

・岩首班

 岩首班における成果として地区独特の自然環境と農業、お祭りを通しての文化を体感し地区の方々の生の声を聞くことができたことが主に挙げられる。私たちは今年を活動の0年目と位置づけていた。これは今年が今後も継続的に岩首地区で活動を行うために地区のことを理解し関係を構築することを主目的としていたという意味である。そのためいかに岩首のことを知り、いかに地区の方々との繋がりを構築していくかということに主眼を置いた活動を展開した。里山整備では岩首に限らず佐渡全島で問題となっている荒廃した竹林の整備がいかに大変か、草刈、稲の天日干し体験では機械化できない棚田での農業の現実を直視することができた。それと同時に棚田の美しい景色を見てこれをどうしたら後世に残していけるのかメンバー全員が考える機会も得た。岩首熊野大祭においては一般のお宅にお邪魔しお話を聞くことができ、また遊びに来るよう言ってもらうなどある程度地区の一般住民の方とも交流を図れた。さらに地域で最大級のちょうちんを作成し来年以降もお祭りの際に掲げていただくことになった。また帰京後に感謝の気持ちをこめてビラを作成し回覧板を使い岩首の全戸にまわした。このようにして地域に私たちの存在をまず知ってもらい信頼関係を構築することで、より中身の濃い活動の下地作りを行えたのではないかと思われる。

・島谷班

 島谷班は「倉谷集落に学生が来たという事実を残し、『来年また来てね』と言ってもらえるような活動にする。」を目標に掲げ活動を行った。今年度は一年目ということで、信頼関係を築くことに重点を置いて活動した。そのために散策で倉谷地区のことをよく知ること、農家のお手伝いや寺の掃除といった現地の方に印象が残るような活動を行うこととなった。また、今年度は西三川地区のお祭りにも参加し、太鼓引きや獅子舞といった伝統芸能にも触れることができた。今年度の活動の結果、区長様、お世話になった農家の方、そしてお祭りを運営していた青年団の方々から「来年もまた来てほしい」と声をかけてもらえることができた。これは倉谷集落の方と友好的な関係が気付けたという証拠であり、今回の目標は達成することができたといえる。ただし、今年度の活動では、区長さんとお世話になった農家の方以外の倉谷集落の方とは交流がなかったので、来年度も引き続き、集落との信頼関係を深めていく必要がある。

〇次年度のvision

 2013年の活動が終了し、RECの活動も来年度で4年目となった。佐渡旅終了後次年度のvisionをメンバーで考えた結果大きく1つの大きな方針が決定した。それが「地域からの地域活性を行う」である。この方針に至った理由は今年の佐渡旅2013の活動にある。RECが目指す「佐渡島の地域活性」を達成する上で、解決すべき問題を探す切り口は何かという問いについて、佐渡旅2013で行った「地域での活動」こそが最適な答えではないかという結論になったのである。具体的には今年の活動で行った5地域の活動(羽二生、倉谷、島、岩首、四日町)を継続させ、それぞれの地域の活動について発展させた活動を行っていく。地域における活動について詳細な活動のロードマップを下図に示した。まず、学生が主体的な働きかけにおける行動(農作業手伝い、地域インフラ補修など)を行い地域の人々から信頼を得る。その次に学生に対し地域の問題点(ニーズ)や学生の活動に対する意見をいただく。そしていただいたニーズ・意見から学生が新たな行動案を企画し、地域の方々の意見をさらにいただきながら計画を策定する。そしてその計画に沿って行動を行う。今年の活動報告にもあるようにそれぞれの地域においての段階の進行度に差はあるが次年度はこの4つの段階に沿って地域内の活動を進めていき、各地域が少しでも先の段階へ進むことを目指したい。さらに地域内の活動から佐渡島全体の問題点や魅力を抽出し、それらを活かすことで佐渡市役所などへの学生の提案活動・東京での佐渡PR活動を前年度からさらに発展させて活動を行うことも目指したいと考えている。

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